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平成13年度 特別講演会「次世代ネットワークとバーチャル文化ゾーン」
鈴木直義(静岡県立大学経営情報学部教授)
美術品の価値は公立美術館と住民サービスという限定的な枠組みの中での議論ですら非常にとらえ難い。展 示頻度、鑑賞者数の累積などの露出頻度での評価はまず支持されまい。ましてや個々の収蔵品に対するそれら の集積値で美術館そのものを評価することも。 一方では美術館をはじめ、博物館、図書館や大学など教育機関にいたるまで、評価の矛先から逃れることができない時勢である。守勢に回るよりは主体的にそれらの問いに真摯にとりくむことが正しい選択であろう。 このような背景のもとに数年来静岡県立美術館と静岡県立大学は美術館の価値という根元的な問題意識のもと に共同研究を続けてきた。 ここ数年の社会的な変化の中でもっとも重要なものの一つは「インターネット」の成熟であろう。とくに高速大容量メディアへの期待はインフラとしてのInternet の終焉とも言うべき段階の到来を示している。たとえば次世代超高速ネットワーク環境であるJGN(Japan Gigabit Network)は通信メディアの機能的な制約を排除するとどんな美術館が出現するか?という刺激的な問いかけを私たちに課した。 それへの一つの回答が「仮想文化ゾーン構想」であり、その一環としての取り組みが2001年7月に開催された「ザ・ベスト展」の一つのイヴェントとして公開した「仮想美術展システム」である。その根幹は収蔵品検索リクエストシステムとそのリクエスト結果をリアルタイムに仮想展示室に反映させるシステムである。 後者は高速ネットワークで結ばれた遠隔地の学芸員同士がコミュニケートしながら利用できることを念頭に おいて設計されており、展示シミュレーションシステムとして単独に稼働させることも可能である。現存する 美術館の展示室を忠実に再現することも、全く自由に仮想展示室を作り出すことも可能であり、複数の現存す る美術館の展示室を組み合わせて出現させることもできる。 もちろん完成した展示室は自由に美術品を配置し、随時それを変更することも可能であり、そのなかを鑑賞 者が自由に歩き回ることもできる。 このシステムのコンセプトは、イヴェント自体を忠実に記録・保管するにとどまらず、鑑賞者のアクションにリアルタイムに応えうる「ダイナミックデータベースシステム」である。「展示」というイヴェントには個々の美術品単体での価値の単純和以上の、それに関わる学芸員たちの創作的価値が込められているはずであり、そこに明示的な視点を当てることで美術館と来館者の関係を見直してみたかったのである。 このシステムは、最終的な到達点として美術展示にとどまらず、さまざまなイヴェントをその企画者の意図を忠実に保存し再現するための「完全なるデータベースシステム」として成長させつつある。一方では現在のネットワークインフラでの実用を目指し、企業の製品開発のノウハウを取り入れた商用システムとしての製品化を図っており、新たなビジネスモデル創造に向けて研究開発を進めている。
講師プロフィール
1948年2月1日生まれ。東京都立大学大学院理学研究科博士課程修了、理学博士(1986年)。主な研究テーマは、情報技術・ネットワークとコミュニケーション。今年度は、静岡県立美術館との共同研究により、利用者がコンピュータ上で作品を自由に展示できる「わがまま仮想美術館」を開発した。


平成13年度 学芸員研究会
日  時 :平成13年12月14日(金)13:30−17:30
会  場 :浜松市楽器博物館
テーマ 「今後の博物館を考える」
日程
13:00−
受付開始
13:30
開会、日程説明
13:35−13:40
会場館挨拶
浜松市楽器博物館館長
13:40−14:40
講演会「ミュージアムにおける評価の現状と課題」
佐々木亨氏(北海道大学文学部助教授
▲佐々木亨氏(北海道大学助教授)
14:40-1450
質疑応答
14:50−15:30
事例紹介1
「学校教育との連携(移動楽器博物館)」
村瀬正巳(浜松市楽器博物館学芸員)
15:20−15:30
質疑応答
15:30−16:00
事例紹介2
「アーティスト・イン・レジデンスin 天竜」
一花義広(天竜市立秋野不矩美術館学芸員)
16:00−16:10
質疑応答
16:10−17:00
総合討論
17:00−17:30
浜松市楽器博物館見学および休憩
参加者数:31名
日  時 :平成14年3月14日(木)13:30−17:00
会  場 :富士市立博物館
テーマ :「今後の博物館を考える」
日程
13:00−
受付開始
13:30
開会、日程説明
13:35−13:40
会場館挨拶 富士市立博物館館長
13:40−14:20

講演会「静岡県立自然史博物館設立推進協議会の活動経過と課題」
伊藤通玄氏
(静岡県立自然史博物館推進協議会事務局長、元静岡大学教授)

14:20−14:30

質疑応答

16:00−16:30

「総合的な学習とシャボテン公園の体験学習」
真鍋憲一(伊豆シャボテン公園学芸員)

▲真鍋憲一氏(伊豆シャボテン公園学芸員)
 
16:30−16:40

質疑応答

 
16:40−17:00

総合討論

参加者数:21名
H12−13年度 研究会委員
伊豆シャボテン公園(真鍋憲一)、富士市立博物館(志村博)、東海大学博物館(毎原泰彦)、天竜市立秋野不矩美術館(一花義広)、平野美術館(斎藤和恵)
※研究会委員の皆様、たいへんお世話になりました。
H14−15年度の研究会委員館園については、平成14年度の総会で新しい委員館が決まり、各館園から担当者を決めていただくことになります。新委員の方々、よろしくお願いいたします。

「ミュージアムにおける評価手法の種類」
北海道大学・文学部 佐々木亨
我が国のミュージアムにおいて行われている、または導入が検討されている評価手法を大きく次の9種類に分類し紹介する(江戸東京博物館の佐々木秀彦氏の分類を参考に筆者があらためて整理した)。
(1)一定の基準による審査登録制度
日本博物館協会では、2002年3月2日にシンポジウム「今後の博物館の評価のあり方」を開催し、現在検討しているミュージアムの新しい登録審査制度の考え方や課題などを紹介するとともに、参考にしている英米の登録制度の説明をした。
(2)設置者による点検
東京都が平成12(2000)年度に、都が所管する文化施設などに対して実施した事務事業評価がある。観覧者数「達成度」と観覧者1人あたりの経費などから総合評価を下している。
http://www.chijihonbu.metro.tokyo.jp/hyokahp/h12hyou.htm
(3)ミュージアム自身による点検
展示などの改善・開発を前提にした検証作業である。企画の初期段階での事前評価、形成的評価、完成後の総括的評価がある。総括的評価は近年、滋賀県立琵琶湖博物館や北海道開拓記念館などで実施されている。
(4)業績測定をもとにした設置者・ミュージアム・利用者による目標管理
ミュージアムの各事業に関してその業績を測定するための指標を決め、その指標ごとに目標の数値を設定し、事後に現状の業績値を測定し、目標と現状とのギャップの原因分析を行う。静岡県立美術館において、「ベンチマークス」という名称でこの手法が取り入れられている。
(5)利用者によるランクづけ
ミュージアムとは関係のない任意の組織が、いくつかの指標に基づいて順位付けを行うものである。数多くのミュージアムを比較するため互いの刺激になるという効果がある。しかし一方で、利用者だけで評価を行うため、組織の管理運営上の重要な情報が入手しにくいので、直接触れるサービスに指標が片寄る傾向がある。
(一例としてhttp://homepage3.nifty.com/museums/
(6)ミュージアムの経済効果等の測定
国立民族学博物館、滋賀県立琵琶湖博物館においてミュージアムの経済効果などの測定が行われている。
(7)政策判断の是非の検証
「政策評価」(Policy Evaluation)と呼ばれているもので、議会や首長が執行部門や第三者機関に命じて、現在の博物館政策が社会状況の変化の中において妥当性があるかどうかなどを分析し、今後の政策選択に役立たせるものである。
(8)外部の専門家による、ミュージアムの運営形態・組織、制度の改革に関する提言
ミュージアムによる自助努力の範囲を超えた、制度的制約に由来する非効率や機会損失を解消するための、経営専門家などの第三者による制度改革の検討である。
(9)戦略計画策定
利用者・観覧者に関する調査結果から戦略的に事業の見直しを行うとともに、ミュージアムのミッションの見直し再構築を進めるケースがある。企業の「戦略計画策定」に該当し、今後、有力な評価手法として位置づけられると考える。
なお評価を行う際、常に忘れてはならないことは、何のために評価を導入するのかということである。これを忘れると、評価報告書の作成自体が目的となってしまう。評価の本来の目的である組織や事業・サービスの改善・改革、情報公開という部分を見失ってはいけない。
※佐々木氏による講演会は、第1回学芸員研究会(平成13年12月14日於浜松市楽器博物館)で行われました
輪転印刷機(模型)
明治から昭和初期
富士市立博物館蔵
第二次世界大戦中に軍需工場となるまでナプキン製造が続けられました。

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