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平成14年度 特別講演会
「今、明治という時代を考える」−吉田博と太平洋画会−
講  師 :志賀秀孝氏(府中市美術館 学芸員)
日  時 :平成14年10月6日(日) 午後2時〜 3時30分
会  場 :静岡県立美術館 講堂
参加者 :約310名
▲府中市美術館 志賀秀孝氏

明治洋画を振り返ると、吉田博の絵画の傾向、つまり自然と写実そして詩情の重視は、明治美術の一つの典型を示している。吉田博の軌跡は、ひろく明治美術や特に旧派と呼ばれた太平洋画会系の作家の理解に有用であるため、吉田博らの具体的な作風についてスライドを用いながら実作品を辿った。
静岡県立美術館で開催の「吉田博展」と府中市美術館で開催の「吉田ふじを」展について、10月2日朝日新聞に、「博らは、黒田清輝らの白馬会に対抗して太平洋画会という団体を作り、近代美術史上では、傍流の扱いを受け、ふじをは女性であることで、きちんとした評価対象になってこなかった。いわば、片隅に追いやられてきた存在の検証と顕彰。両展の同時期開催は、美術史見直しの機運が反映した現象」、「片隅におかれた夫婦の存在、再顕彰(の機会)。」(田中三蔵)と評された。このように昨今、明治洋画の新側面への掘り起こしへの期待が叫ばれているものの、今日までに総合的な見直しはされてきていない、この2 展はそうした声に呼応したものといえる。そこで、講演では、新派・旧派について整理し、今日的には本流と目されてきた白馬会の流れ(いわゆる新派)は、実は明治初年から流れる明治美術会ならびに太平洋画会の流れ(いわゆる旧派)の一部であることをこの代表作家である吉田博とふじをの画業をたどりつつ旧派全体について述べた。特に彼らに決定的影響を与えた不同舎について、私画塾(明治7 年の彰技堂とこれ以降の動勢)の性格と、その塾頭小山正太郎(指導方針)について、また彼の教えた写実精神(道路山水)について触れた。また、太平洋画会を創立するに至る吉田のアメリカ旅行については、同行した関連作家、満谷国四郎、中川八郎、鹿子木孟郎らの作品とともにその実際を辿った。さらに万国博覧会や、留学の問題から、彼らのめざしたものは、日本における
明治期の洋画表現確立という枠組みばかりではなく、フランスのみならずアメリカ圏(「太平洋」圏)に対する日本美術の表明にあった可能性を確認した。

講師プロフィール
1959年生まれ。成城大学文学研究科美学美術史博士前期課程修了。主な研究テーマは、明治洋画。西宮市大谷記念美術館学芸員を経て、現在府中市美術館学芸員。「画家たちの青春と留学展」、府中市美術館開館記念展「明治洋画の聖地グレー村の画家たち展」、「鹿子木孟郎 師ローランスとの出会い」展、「没後40年 色彩の音楽 正宗得三郎の世界展」などを担当


平成14年度 学芸員研究会
日  時 :平成14年12月14日(土)13:30−17:30
会  場 :掛川市立中央図書館
テーマ :「博物館の評価について」
日程
13:00−
受付開始
13:30
開会、日程説明
13:35−13:40
会場館挨拶
掛川市二の丸美術館館長
13:40−14:50
講演会「博物館の自己点検・評価と改善」
佐々木秀彦氏(江戸東京たてもの園学芸員)
14:50−15:30
掛川市二の丸美術館見学および休憩
▲掛川市二の丸美術館
15:30−16:10
事例紹介1
「静岡県立美術館の事業評価について」
泰井良(静岡県立美術館学芸員)
16:10−16:50
事例紹介2
「掛川市における掛川二の丸美術館の評価としての位置付け」
戸塚和美氏(掛川市二の丸美術館学芸員)
16:50−17:30
総合討論、意見交換など
参加者数:20名
芹沢_介「東北窯めぐり」
表紙「東北窯めぐり」について
芹沢 介は、東北地方の風物をこよなく愛した人だった。作品には東北に取材したものが多いし、蒐集品を見ても東北の品物が特に見応えのある一角を形成している。
「東北窯めぐり」は、芹沢が訪ねた東北の窯場と人々の暮らしを型染で表現した戦前の代表作の一つである。益子(栃木)、小菅、成島、平清水、新庄東山(以上4窯山形)、楢岡(秋田)、久慈(岩手)、堤(宮城)の8窯が、絵皿を意識した円形に収められて模様化されている。
絵本の『東北窯めぐり』の制作年をとって昭和18年作と見なされてきたが、同型の作品の一部が既に昭和14年2月の展覧会に展示されているし、作風から見て「小川紙漉六曲屏風」(昭和12年)に近く、また肉 筆絵本『赤青草紙』(昭和12年12月)がその下絵本であると考えられるから、制作年としては昭和13年もしくは12年を考えるのが妥当であろう。
白鳥誠一郎
(静岡市立芹沢_介美術館学芸員)

日  時 :平成15年3 月14日(金) 13:30−17:30
会  場 :静岡県立美術館 講座室
テーマ :「災害発生時の県内ネットワークについて」
日程
13:00−
受付開始 
13:30
開会、日程説明
13:40−14:50
「NPO法人「文化財を守る会」の設立を目指して」
山口總太郎氏、友田千恵氏、日比野秀男氏(常葉美術館館長)
▲常葉美術館 日比野秀男氏
14:50−16:00

講演会「保存の現状と今後」
石崎武志氏(東京文化財研究所保存科学部物理研究室長)

16:00−16:30

総括

16:30−17:30

静岡県立美術館「きらめく光」展見学

参加者数:33名
平成14−15年度 学芸員研究会委員
伊豆三津シーパラダイス・学芸員 海獣飼育マネージャー 鈴木規泰
熱海市立澤田政廣記念館・学芸員 相磯 浩
東海大学博物館・学芸員 毎原泰彦
豊田町香りの博物館・学芸員 伊藤八重子
掛川市二の丸美術館・学芸員 戸塚和美


博物館の自己診断と改善
−日本博物館協会「博物館の望ましい姿」の意義と活用−
江戸東京たてもの園学芸員 佐々木秀彦
日本博物館協会は、博物館運営の拠り所となる「博物館の望ましい姿−市民と共に創る新時代博物館−」 (以下「望ましい姿」)を作成しました。現在行なわれている博物館評価が、入館者数や入場料収入などに偏っているのに対し、「望ましい姿」では博物館の専門組織が「博物館としてこれだけは必要」、「こうすると望ま しい」という項目を提示しています。つまり博物館という非営利の文化機関にふさわしい評価の視点を提示しているのです。
「望ましい姿」では博物館の基本的な役割を3つ挙げています。
@.

社会的な使命を明確に示し、人びとに開かれた運営を行なう(マネージメント)

A 社会から託された資料を探究し、次世代に伝える(コレクション)
B 知的な刺激や楽しみを人びとと分かちあい、新しい価値を創造する(コミュニケーション)
そして、3つの基本的な役割を実現するために、9つの基本事項を示しています。1.使命と計画、2.資料の収集と保管、活用、3.調査・研究、4.展示、教育普及活動、5.施設の整備・管理、6.情報の発信と公開、7.市民参画、8.組織・人員、9.財務・社会的支援この9つの項目は博物館の自己診断に活用できます。「望ましい姿」で示された項目に照らし、各博物館は自己の活動を診断し、それをもとに改善の方向性を確認します。そして力を結集して改善を進め、設置者に働きかけたり、利用者や地域の支持を得るきっかけがつくれるのです。「望ましい姿」は博物館が成長するための道具となります。
今後は各館でどのように活用していくのかが課題となります。そして各館の取り組みを日本博物 館協会が支援していくことが期待されます。

▲佐々木秀彦氏   ▲会場風景
※佐々木秀彦氏の講演会は、第1回学芸員研究会(平成14年12月14日 於掛川市立中央図書館)で行われました。
佐々木秀彦氏プロフィール
東京外国語大学卒業。東京学芸大学大学院修士課程修了。博物館学を専攻。1994年、江戸東京博物館に採用。学芸課資料管理係を経て、学芸課展示係で常設展示の評価調査・改善計画に従事する。2002年より、現職。日本博物館協会「博物館の評価の在り方」調査研究委員会特別委員。

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