静岡県博物館協会
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特別講演会 「子どもと自然」
講師 :青木淳一氏
(神奈川県立生命の星・地球博物館館長、横浜国立大学名誉教授)
日時 :平成16年10月17日(日)14:00〜15:30
会場

:静岡県立中央図書館 1階レクチャールーム

参加者 :20名
今年の特別講演会は、ユニークなダニ研究者として知られる青木淳一氏を講師としてお迎えし、自然科学者として、博物館館長としての立場から、現代の子どもと自然との付き合い方についてのご講演をいただいた。
自然と接点の少ない現代の子どもたちが、体験的な自然との絆や野山の恵みに感謝する心を無くし、自然を「汚い」「怖い」ものとして捉えがちになっていること、その一方で、行き過ぎた自然保護教育が子どもと自然との付き合い方を歪め、本来の自然の姿を知り、親しむ機会を損なっていること、などが事例とともに紹介された。子どもたちのために地球上に素晴らしい自然を残そうとするならば、過剰な自然保護・動物愛護教育に傾くのではなく、より冷静で理論的な態度で自然を見つめると同時に、自然が大好きな子どもを育て、自然と共にある嬉しさ・楽しさを教えることに力を注ぐことが肝要であると指摘された。また、そのような教育の実践の場として博物館の重要性についても言及され、博物館関係者にとって示唆に富む非常に有益なご講演であった。
学校教員を中心として来場者からは熱心な質問も寄せられ、活気があったが、聴講者が少数にとどまったことは大変残念であった。担当者として広報活動等を深く反省すると共に、今後加盟館園からの積極的な参加を是非ともお願いしたい。 (静岡県立美術館 学芸員 森 充代)


研修会 「保存科学研修(入門編)」
講師 :佐野千絵・木川りか・吉田直人・犬塚将英(東京文化財研究所保存科学部)
日時 :平成17年1月27日(木)13:30〜17:00/1月28日(金)11:00〜15:00
会場 :静岡県立美術館 講堂
参加者 :67名
東京文化財研究所・静岡県教育委員会と共催で博物館活動 の基礎となる「保存」についての研修を2日に渡り行なった。
1日目は保存環境概論(佐野)、温湿度の制御と管理(犬塚)、空気汚染の制御と管理(吉田)の講義。2日目は 照明の制御と管理(吉田)、これからの生物被害防除法(木川)の講義と質疑応答で、受講者は熱心に保存に関 わる最新の情報を学んだ。
博物館協会で職員の研修の場を設けてほしい、という加盟館の要望に応えて行われた今回の研修。その成果が、 各館園の活動に生かされることが期待されます。(事務局・飯田 真)


災害対策講習会
第1回 「台風による水害−博物館園の災害報告」
日時 :平成16年12月3日(金)13:00〜16:45
会場 :浜松市美術館<見学=浜松市楽器博物館>
内容
講演「福井豪雨における文化財被害の実際−NPO文化財を守る会の活動報告−」
講師:友田千恵(NPO文化財を守る会代表)
意見交換(文化財レスキュー、新潟県中越 地震の事例を踏まえた対策等)
浜松市美術館「東洋美術の精華」展観覧
浜松市楽器博物館 見学
参加者 :61名
第2回 「博物館園の地震対策」
日時 :平成17年3月4日(金) 13:00〜17:00
会場 :MOA美術館本館3階応接室
内容
講演「震災と博物館―あれから10年、阪神淡路大震災の実際」
講師:森田稔氏(京都国立博物館学芸課長)
「新潟県中越地震被災博物館現地調査報告」
常葉美術館館長 日比野秀男
意見交換
MOA美術館施設および展示見学
参加者 :66名
平成16年度、昨年度に引き続き2回の災害対策講習会を開催した。新潟県中越地震など多くの災害 に見舞われたせいか講習会に対する関心が高く、昨年度以上に多くの参加者があった。また、災害時 の近県博物館とのネットワークの重要性を考慮し、浜松では愛知県、熱海では神奈川県のそれぞれの 博物館協会加盟館に参加を募ったところ、愛知県から20名、神奈川県から8名の出席があり、近県博物 館との連携の意味でも有意義であった。
第1回では、福井での水害の事例から、文化財レスキューの様々な問題が浮き彫りにされた。ボラ ンティアの問題、他の救済活動と文化財救済を目的とした活動とのすみわけ、とりわけ指定文化財以 外の扱いの難しさなど、実際体験してみないとわからない課題が見えてきた。 第2回は、阪神淡路大震災や新潟県中越地震の事例から、地震で何が起こるのかを改めて認識させ られる講習会となった。そして、それらを教訓とした今後の対策についても考えさせられた。対策が 進んでいるMOA美術館の実際の様子を見学させていただいたのは、その上で大変参考になった。 2回の講習会を通じ、多くの加盟館園の職員に、災害に対する認識(危機感)を広められたのはひ とつの成果であると思う。しかし、災害は多様でありその対策も簡単ではない。静岡県はとくに地震 の備えが進んだ県として、他からも注目されている。さらに、災害についていろいろな角度から検討 し、一緒に考えていく場を今後も継続して設ける必要性を感じている。(事務局・飯田 真)


新潟県中越地震被災博物館調査報告 十日町市博物館
静岡県博物館協会・災害対策ワーキンググループ 日比野秀男(常葉美術館館長)
昨年は国内外を問わず大きな災害が目白押しにあった。地震、水害、津波など何をとっても私たちには極めて身近な問題であり、他人事とは思えないことであった。静岡県博物館協会では2年前から災害対策ワーキンググループを設置し、各種研修会の開催やワークシートの作成などを実施してきた。
この度、新潟県博物館協議会の協力を受けて中越地震の被災博物館の現地調査を去る1月18日(火)〜19日(水)に実施したので、以下のとおりご報告したい。中越地震はご存知のとおり今なお余震が続き、さらに豪雪と重なり深刻な被害を受けている。地震は昨年10月23日(土)の午後5時56分に起き、大きな余震が続き午後6時34分に最大の地震が来た。
1月18日(火) 十日町市
@ 十日町市博物館
十日町市博物館外観
 
国宝の縄文土器37点に被害を受け、緊急修理が必要となった。一番大きなショックは免震台に載せてあったに関わらず転倒した点である。
A 十日町情報館(図書館の機能とコンピュータの利用)
 
スプリンクラーが壊れ、天井から水が放出し館内が水浸しとなった。
市内の土蔵が破損したためその土蔵に収蔵されていた古文書を預かりリストを作成している。
1月19日(水) 長岡市
@ 新潟県立近代美術館
一部の展示品などに被害を受けたが大きな被害は受けなかった。ただし、災害時には電話連絡ができなくなり、その対応をどうするか決めておくことと、情報公開が緊急に必要であるとコメントされた。
新潟県立近代美術館での聞き取り風景
A 長岡市立科学博物館
重文の縄文土器が免震台に載っておりながら転倒し破損した。
B 新潟県立歴史博物館
館そのものは被災しなかったが、県内の歴史資料の緊急保管を受けた。
以上、簡単なコメントをつけたが、災害時には自分の博物館の問題だけではなく被災された方々の救済活動とも大きく関わる。そうした一方で被災資料の散逸の問題も緊急に出てくる。4トン車1台分の資料を5万円で買い取るというチラシが新聞に入り緊急に対応が必要とされ、県教委から歴史資料の散逸防止の依頼文も出された。そして「救済ネットワーク」が結成されその人たちが救済活動をし、さらに受け入れの収蔵施設が協力することにより当面の課題は対応できたようである。
災害時には歴史資料など構っておられないというのも現実かもしれないが、新潟県民の歴史遺産に対する強い熱意が救済活動を可能にしたのであろう。
災害時には自分の博物館の問題だけでなく様々な課題が出ることは当然のことである。その時何もしなかったということを避けるためにも、まだまだ多くの課題を解決しなくてはならないと痛感した。
伊豆の国市韮山郷土史料館

※2005年4月より館名が変わりました。



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