藤枝市郷土博物館企画展「小泉八雲が愛した藤枝だるま展」
-「乙吉のだるま」誕生に関わった三人の男たち
NHK朝の連続テレビ小説「ばけばけ」は、『怪談』の作者である小泉八雲(ラフカディオ・ハーン、1850-1904)とその妻・セツ(1868-1932)をモデルにしています。1896年(明治29)、東京帝国大学英文学科の講師となった八雲は、翌年8月、セツら家族とともに初めて焼津を訪れ、浜通りの魚屋・山口乙吉宅に滞在し、焼津で海水浴を楽しみました。焼津の海を気に入った八雲は、以後、亡くなる1904年までの8年間で、避暑のため、6回の夏を焼津で過ごしました。乙吉宅での思い出を綴った随筆作品が「乙吉のだるま」で、1901年に出版された『日本雑記』に収録されました。「乙吉のだるま」では、神棚に飾ってあった片目のだるまを見て驚いた八雲が、乙吉から、目なしだるまに願掛けをして片目を描き入れ、願いが叶った時に、もう片方の目を描き入れる日本の習俗があることを教えてもらいました。じつは、八雲の目に留まっただるまは、1897年(明治30)頃から張子だるまの製造を始めた内田だるま店(のち藤枝だるまへ改称)3代目・内田作太郎(1873-1929)が作ったものでした。乙吉と親交があったという作太郎は、左目を失明していた八雲が片目のないだるまに興味をもったという話を聞いて、だるまの両頬の鬢(びん)に8の字ひげを描くようになったとも言われています。以来、8の字ひげは藤枝だるまのトレードマークになり、八雲だるま・乙吉だるまと呼ばれて親しまれてきました。
藤枝だるまは、「県内ダルマ中、随一の美男子」(『ふるさと百話』5)とも評され、県内各地の寺社のだるま市へ出荷され、最盛期には年間1万個が製造されました。
明治・大正・昭和・平成と、5代約180年にわたり伝統を守った老舗の藤枝だるまでしたが、2015年、5代目長橋秀明氏が病で倒れたことを機に、廃業のやむなきに至りました。2025年、長橋家より、藤枝だるま伝統の木型や玩具資料を一括で当館にご寄贈いただいたことに伴い、だるま・練人形・張子面に関する各種資料を一挙公開し、小泉八雲が愛した藤枝の伝統工芸「藤枝だるま」の歴史あれこれと、県内各地のだるまを紹介します。
展示会情報
会期:2月21日(土)~4月12日(日)開館時間:午前9時~午後5時(※最終入館は午後4時30分)
休館日:月曜日(2月23日は開館)、1月13日(火)、2月24日(火)
入館料:大人200円(団体20名以上160円)、中学生以下無料、障がい者手帳等をご提示の方無料
【開催イベント】
詳しい内容は、藤枝市郷土博物館・文学館のホームページをご覧ください。
交通アクセス
- 電車・バスの場合
JR藤枝駅(北口・2番線)から静鉄バス中部国道線に乗車して約10分、停留所「蓮華寺池公園入口」下車、徒歩7分
- 自動車の場合
- 新東名高速道路藤枝・岡部ICで下車。県道381号島田岡部線(旧国道1号)経由20分、または県道209号静岡朝比奈藤枝線経由15分
- 県道381号(旧国道1号)緑町交差点経由、または国道1号(藤枝バイパス)谷稲葉I.C(西方面より)、薮田東I.C(東方面より)経由約10分
※蓮華寺池公園第1・第2駐車場をご利用ください
博物館情報
- 歴史系博物館
- 文学館
藤枝市郷土博物館・文学館
郷土博物館・文学館は、市民の憩いの場である蓮華寺池公園内にあり、花と水と鳥をテーマにした公園には、春の桜、藤、サツキ、しょうぶと続き、夏のハスなど自然の表情の移り変わりの中で郷土の歴史・文学・文化に触れ、親しむことができます。
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